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循環器内科

Cardiology

末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)
末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)とは

食生活の欧米化に伴い動脈硬化による病気が増えています。心臓を栄養する冠動脈以外の末梢動脈が動脈硬化で狭窄や閉塞を来す病気が閉塞性動脈硬化症(ASO:arteriosclerosis obliterans)または末梢動脈疾患(PAD : Peripheral Artery Disease)と呼ばれています。現在、PADの患者さまは無症状のもの含めて50-80万人に上ると推計されています。

その症状はPAD?(まずは適切な診断を)

動脈は全身にあるため様々な臓器を障害する可能性がります。現在の症状がPADによるものかどうか適切に診断する必要があります(図 さまざまな動脈と自覚症状)。

さまざまな動脈と自覚症状

他の動脈は大丈夫?

PADに罹患された患者さまは虚血性心疾患や脳血管障害を高率に合併します。PAD患者の死亡原因は70-80%が心血管疾患(冠動脈疾患 40-60%、脳動脈疾患 10-20%、大動脈瘤破裂 10%)と報告されています。末梢動脈だけの問題ではなく済まないので、きちんとした診断および治療が必要なのです。当院では高い診断能力を持った循環器内科医が適切に全身の動脈の状態を診断します。

他の動脈は大丈夫?

Aronow,W.S. et al.:Am.J.Cardiol.,74,64-65,1994

末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)の治療

まずは動脈硬化の危険因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満、高尿酸血症など)の管理が大切です。また様々な薬物療法も有効です。しかしながら動脈硬化の危険因子の是正や適切な薬物療法を行っても自覚症状が残存する、または将来的に発症が予測される様々な病態に対して薬物療法のみでは不十分と考えられるときは何らかの血行再建術(血流をダイレクトに増やす治療)が有効です。血行再建は狭窄や閉塞した血管を迂回してバイパス路を増設するバイパス手術と、カテーテル(医療用の細長い管)を用いて狭窄や閉塞した血管そのものを再開通させるカテーテル治療があります。

循環器内科はカテーテル治療のプロです!

当科ではカテーテルを用いた身体への負担が少ない方法で様々な血行再建術しています。一般的にカテーテル治療はインタ‐ベンション(介入という意味)と呼ばれています。我々循環器内科医はかねてより心臓(冠動脈)に対するインターベンションを行っていますが、近年は末梢血管に対するインターベンションも積極的に行っています。人体の中で最も重要かつ繊細な血管である冠動脈に対する治療経験で培った技術を持って末梢血管の治療を行っています。まさにカテーテル治療のプロフェッショナルであると言えるでしょう。当院は、日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)の認定施設で、豊富な経験を持つ医師(CVIT認定医2名、CVIT専門医2名、CVIT指導医1名)が高い技術で治療を行います。

下肢閉塞性動脈硬化症(下肢PAD)

大動脈以下の血流障害により起こります。

自覚症状

間歇性跛行(歩行時に下肢の疼痛・しびれが出現。安静で軽快するが歩行で再度症状が出現する)や重症虚血肢(安静時疼痛、難治性皮膚潰瘍)など。
自覚症状、ABI(Anckle-brachial index; 足関節・上肢血圧比)、エコー、CTアンギオなどで診断します。

下肢PADのインターベンション

大動脈から膝下動脈までがインターベンションの対象血管です。インターベンション治療の適応、慢性期の再狭窄率は大きく異なります(図 インターベンション治療の適応、慢性期の再狭窄率)。

下肢PADのインターベンション

症例

症例1

症例2

症例3

腎動脈狭窄症

以下のような場合に、腎動脈狭窄が原因かも知れません。腎動脈の狭窄を治療すれば治る可能性があります。高齢者に多い動脈硬化性ものと若年女性に多い線維筋性異形成があります。但し一般的に有効率は約70%(約30%の方で治療による効果が得られない)とされているため、インタ-ベンションの適応は慎重に決定します。

  • 難治性高血圧
  • 若年性高血圧
  • 腎機能障害
  • 腎萎縮
  • うっ血性心不全
  • 不安定狭心症
症例

症例

鎖骨下動脈狭窄症

上肢へ血液を送る鎖骨下動脈が動脈硬化で狭くなると、同側の上肢の疲れやすさ・冷感、同側の上肢可動時のめまい・ふらつき(鎖骨下盗血症候群)、狭心症(同側の内胸動脈を用いた冠動脈バイパス術後の場合)、透析シャント不全(同側にシャントがある透析患者の場合)などの症状がでます(図 SCA病態)。

鎖骨下動脈狭窄症

症例

症例