独立行政法人労働者健康安全機構 大阪労災病院

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がんに関するご相談について

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乳がん

当院は堺市医師会より認定された乳癌検診精密検査実施医療機関であり、乳癌検診で要精査となった方や、自己検診で症状のある方を中心に、正確・迅速な診断と最適な治療を提供するように努力しております。

正確・迅速な診断

a)画像検査

マンモグラフィ、超音波検査はもちろんのこと、CT、MRIなどを駆使して乳癌であるのかないのか、また乳癌であればどの程度乳房の内外に癌が広がっているのかを可能な限り正確に診断していきます。

b)病理検査

穿刺吸引細胞診・針生検及び吸引式針生検(マンモトーム生検等)があり、画像診断の結果を基に適切な検査方法を選択し実施します。そして、採取した標本を当院の病理専門医が検鏡を行い最終的な診断を下します。乳癌と診断がつきましたら治療方針を決めるためのバイオマーカー(ホルモン受容体やHER2受容体発現状況など)を調べます。
当科では、以上の画像診断から病理診断(ベッドサイド細胞診)までを約半日で行う乳腺外来を毎週水曜日の午後に実施しています(予約制)。

最適な治療

乳癌の治療には局所への治療(手術、放射線療法)と全身的治療(薬物療法)とがあり、これらの治療法をうまく組み合わせて生存率の向上を目指します。

a)手術

手術療法は、乳房に対する手術と腋窩リンパ節に対する手術を分けて検討する必要があります。
乳房に対しては、約30年前までは乳房をすべて切除してしまう乳房切除術が主流でしたが、乳房の部分切除で十分に癌が摘出できる場合は乳房切除術と生存率が変わらないことが証明されたため、その後は乳房温存術(乳房部分切除術)が主流となり、当院での2017年の温存率は48%まで伸びました。しかし、画像診断の進歩により、乳房内に癌が広範囲に広がっていたり、多発していることが術前検査で明らかにされる機会が増え、乳房切除術が逆に増えてきています。また、乳房再建術時に使われるインプラントが2013年に保険収載されたことも乳房切除術が増えた一因とも考えられます。当院では、患者様の希望に応じて切除と同時または後日に形成外科医による乳房再建を行っています。

腋窩リンパ節に対しましては、術前にリンパ節転移ありと診断されている場合にはリンパ節郭清を行います。しかし、術前にリンパ節転移なしと診断された場合には、まずセンチネルリンパ節(乳癌細胞が最初に流れ着くリンパ節)生検を行い、術中迅速病理診断にて転移がないと判定されればリンパ節郭清を省略しています。そうすることによって術後の腕のむくみ(リンパ浮腫)などの後遺症を減らすことができます。また、最近の知見からセンチネルリンパ節に転移が見つかっても、複数の条件がそろえば腋窩郭清を省略できる可能性も示唆されています。患者様と相談の上で治療方針を決めさせていただきます。

b)放射線療法

術後補助療法としての放射線療法(温存した乳房・領域リンパ節・乳房切除後の胸壁)と再発部位に対しての放射線療法があります。乳房温存術が行われた場合は、一部の患者様を除き、局所再発の予防のため放射線照射を受けていただくのが原則です。いずれにしても当院の放射線治療専門医と協力しながら治療に当たらせていただきます。

c)薬物療法

乳癌の薬物療法には化学療法(抗癌剤)、内分泌療法(ホルモン剤)及び分子標的治療(癌細胞を増やす指令をブロックする薬)があり、最近は新しい分子標的薬が続々と開発され使用可能となりました。乳癌の約85%を占める浸潤癌は、乳癌と診断がついた時点で目に見えない微小転移(将来の再発・転移の原因)を伴っているため、乳癌の性格(タイプ)に応じてこれらの薬物を効率よく使っていき微小転移を根絶させることが生存率向上の重要なポイントです。
がんと診断がついたときにとりかかる初期治療においての薬物療法は乳癌のサブタイプによって使用する薬剤を選択していきます。ホルモン受容体陽性HER2受容体陰性のルミナールタイプにはホルモン療法のみ、または化学療法を併用する場合があります。ホルモン受容体陽性HER2受容体陽性のルミナールHER2タイプにはホルモン療法に加えて化学療法と分子標的療法(ハーセプチンなど)が必要になります。ホルモン受容体陰性HER2受容体陽性のHER2タイプにはホルモン療法は効果が期待できないので、化学療法と分子標的療法となります。またホルモン受容体陰性HER2受容体陰性のトリプルネガティブタイプには化学療法のみが唯一の全身療法になります。実際の薬剤の選択は基本的にはガイドラインに沿って行いますが、さらなる治療成績の向上(効果を高め、副作用を少なくする)を目指して、多施設共同臨床試験等にも積極的に参加し、標準治療以外に最先端の治療法も患者様が選択できるようにしています。
転移・再発乳癌は、局所再発を除いて治癒が困難な状況です。そのため、治療の目的は延命と生活の質の改善です。この際の薬物療法の選択も基本的にはガイドラインに沿って行いますが、治療戦略に定まったものは存在しないため患者様の意向を十分に反映した薬剤の選択を行います。最近ではCDK4/6阻害剤や、PARP阻害剤などの新しい分子標的薬がどんどん開発されてきています。こういった新しい薬剤も積極的に取り入れて治療を行っていきます。
また、当院では通院しながら快適に薬物療法(内服薬を除く)を受けていただけるように外来化学療法室を利用していただいております。

がん遺伝カウンセリング外来について

全乳癌症例の約5〜10%程度が遺伝性と推察されています。乳癌発症にはさまざまな遺伝子が関わっていますが、特にリスクが高いのが1990年台に乳癌および卵巣癌の発症に関する遺伝子の一つとして報告されたBRCA1/2の変異です。そういった遺伝性乳癌や卵巣癌の患者は遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)と呼ばれています。近親者に乳癌や卵巣癌患者がいること、40歳未満での乳癌発症、両側乳癌患者、トリプルネガティブタイプの患者などにその可能性が高くなります。当院においては乳癌と診断された患者様の中で、HBOCの心配がある方を中心にがん遺伝子カウンセリングを行っています。HBOCに関する情報提供を行うと同時に患者様とその家系全体を視野に入れて様々な局面をサポートしていきます。

リンク

科学的根拠に基づく乳癌治療ガイドライン:薬物療法(2018年版)、外科療法、放射線療法、検診・診断、疫学・予防(2018年版):医療者用
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0006/0006_ContentsTop.html

癌研有明病院ホームページ:がんの知識・乳癌(一般向け)
http://www.jfcr.or.jp/hospital/conference/cancer/about/breast.html

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